標高1150メートルの草津高原・中沢ヴィレッジにシラカバはよく目立ちます。木肌の色の相場が、茶色または茶褐色と決まっていて赤、青、黄などが見当たらないのは不思議です。白い幹のシラカバは低地にはなく子供達には珍しいはずですが歓声を上げないのはお父さんやお母さんが教え済みで当たり前なのでしょう。「当たり前」だと何故という質問は出ません。ふと「シラカバはなぜ白い?」と聞きまわって馬鹿にされたのは反対から読むと「バカラシ」からでしょう。
インターネットでは次のように出ています。
小学3年の息子に「白樺はなぜ白い?」と学校から言われたらしく質問され困っています。
参照URL:http//www7.gateway.ne.jp/~fuozawa/
<森林博士より>
大変難しい質問ですので、「木のなんでも相談室」の岡野先生にご相談、筑波の森林総合研究所の大原先生のご回答です。「シラカバの樹皮は外樹皮と内樹皮に分けられ、白く見えるのは外樹皮で、主成分の<ベチュリン>という白い結晶性のトリテルペン化合物を約70%も含みます。内樹皮は、タンニン等のポリフェノール成分や糖類が主成分で、茶色または茶褐色です。シラカバが白く見えるのは外樹皮に多量のベチュリンを含むためで、ダケカンバ、ウダイカンバ等、カバノキ属の木はベチュリンの量に違いはありますが、白っぽく見えます。」
岡野健okano-sodan@nifty.com
木のなんでも相談室Tel :03-3615-2816Fax:03-3615-3563
なぜ白く「見えるか」ではなく何のためか?の答えが欲しいのです。この種の回答は仕組みに興味のある科学者の回答で「なぜ」の入口です。なぜシラカバにベチュリンが多いのか?と、たどって行くと最後には「何のため」になります。これは哲学者の領域かもしれませんが、何故か「なぜの行き止まり」を人は知りたがります。
さて2002.7.19早朝散歩にロシアのバリトン歌手ジバエードフさんと夫人の公害問題専門家、有川良子さんが参加され、シラカバを見て「黒いわ、車の排気ガスでロシアでも道端のは黒いわ」とおっしゃいます。驚いて「シラカバは日光好きの陽樹で、多くの幼樹が成長して日陰になると枯れたりします」というと「広大なロシアのシラカバ林は真っ白で素晴らしい景観ですが、中に家でも造れば黒ずんで枯れてしまう環境に鋭敏な木です。」
とこの時、閃きました、なぜシラカバは白いかを。「シラカバだけの純正林が安定した姿ではないか」と。太陽光を吸収する黒よりも、お互いに自分の幹に注ぐ光を「仲間に反射してやる白がいい」という考えです。乏しい太陽光下を群で生きる方法ではないでしょうか。家々を全部「白」にすれば町は明るくなる類です。草津ではシラカバの中に陽樹のアカマツが入り、終には赤松の森になります。「排気ガスではなくシラカバの辺りに黒いものがあると元気がなくなるので真っ白な壁の家でも造ればいいかもしれません」と申し上げましたがいかがでしょう?