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●不老長寿(?)の魔法の水

2003.03.05/中沢康治

 

 
 
 

 

草津温泉の湯畑に来るといかにも温泉に来たという感じで、かすかに硫黄の匂いがします。これが0.06ppmくらいの「硫化水素」の匂いです。


日本の大気の基準では10ppm以上になると「要注意」ですがアメリカでは20ppmです。志賀草津ルートの殺生が原のカーブ付近は30ppm以上になると警報が出ますが、50ppmくらいは大丈夫ですので少し過保護かなと思います。但し、400〜700ppmで30分〜1時間は生命の危機、700ppmいじょうで匂いがしなくなり即死する猛毒です。お醤油でも飲みすぎれば身体に悪いように、何事も過ぎたるは及ばざる如しですね。

さて、この硫化水素が最近注目を集めています。
一つはエネルギーの観点から、もう一つは医療上からです。
あの面倒な分子式はH2S、水のH2Oに似ています。しかも酸素Oと硫黄Sは同じような性質を持っていますので何か関係があると思います。

今騒がれている無公害な「水素燃料」は酸素と化合して高いエネルギーを出し、水になりますので理想の燃料と言われますが、水素を造るのに又エネルギーが必要です。それには様々な方法が考えられますが、より低コスト化が求められています。

最近、東北大学田路和幸教授光触媒によって硫化水素から水素を分離する方法で、今草津の資源を調査中です。もう一つは「還元性」による医療的な効果です。湯畑系の温泉には硫化水素による「活性水素」が在るようですべすべします。

活性酸素の害」というのを耳にされた事があるでしょう。なんと我々が呼吸する酸素が犯人と言うので解り難い話しですが、激しいスポーツは身体に悪いと言う事になります。
今から30年程前にアメリカのクーパー博士の提唱、「有酸素運動」(エアロビクス運動)が流行りました。走り出して5分くらいすると酸素なしのアデノシン三燐酸の燃焼から、酸素の燃焼に変わるので、毎日10分以上は走れという理論で、1975年、(財)淀川善隣館のエアロビクス運動第1回講習で初級をとりましたが、博士はランニング中に亡くなりました。その後、活性酸素の害が騒がれてきました。
ミトコンドリアでは酸素の2、3%が活性酸素に代わり、病原菌ばかりか身体をも傷つけるといわれます。イラクの軍事施設を攻撃すると民間や味方までやっつけてしまうのに似ています。
アトピーを始め、糖尿病、リュウマチ、癌や遺伝子異常、難病奇病、老化現象まで犯人と目されています。
素人考えでも活性酸素が犯人なら正反対の「活性水素」は有効でしょう。安全なのは、人体のほぼ70%を占める水に含めば「健康長寿の水」と言う事になります。
自然界にもそんな泉が知られます。
フランスのルルド、ドイツのデルナウ、メキシコのトラコテ、日本は九州にあるそうです。海底深層水もこの「還元水」と思われます。活性酸素の怖さは強い酸化作用で火が燃えるのも、鉄の錆びも「酸化」で、これを逆に戻すのが「還元」です。
「酸化される」と電子を引き抜かれ、「還元される」と電子を与えられます。「多量の電子を含む水」なら、いくら電子を引き抜かれても大丈夫という訳です。これを人工的に創るには電気分解で陰極から水に電子を与えるか、直接、水素の添加です。前者は陰極の水が 中性になってしまい、後者はまだ発表されていません。出来ても不安定でしょうが、この魔法の還元水を飲み、入浴が出来たらどんなに素晴らしいことでしょう。

 

 
 
 
 
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