今回は町村合併問題と観光問題の2つ質問させていただきます。議員にとってこの一般質問が自分の考えを為政者の町長に真剣に聞いていただける唯一つの機会だと私は思っています。
さて、差し迫った問題は町村合併です。何故やるか?「地方自治」のためです。地方自治とは何か?山口和之氏に<痴呆爺>と言われない様に「地方が自ら治める事」です。「中央」に頼らずに「自分の事は自分でやる」当たり前の事が未だ出来ていないのです。これには歴史を考えてみる必要があります。
縄文・弥生時代には力による「地方統治」はありましたが当然「地方自治」はありません。古墳時代に大和朝廷による中央集権が起こり、飛鳥・奈良時代に古代中央集権国家が確立します。平安時代になると中国をまねた官僚中央集権に発展しますが、荘園という地方統治も発達します。これを鎌倉時代に武士階級が武力で壊して室町時代に継がれます。その後勢力を増した地方豪族が群雄割拠して戦国時代に入り、秀吉が「中央」を制覇して、1588年、民衆の武力を奪う「刀狩り」が行われたのが日本型の中央集権の始まりでしょう。地方は「中央」に従属した武士が統治します。江戸時代になると「中央」の幕府が、武力と権力で地方の藩を、また明治から第二次世界大戦までは、「中央」官僚や軍部が権力と情報で都道県を通して民衆を統治し、「見ざる、聞かざる、言わざる」が美徳の「縦社会」が350年以上も続きました。そして戦後、初めて横社会の「民主主義」と「地方自治」がアメリカから与えられましたが、突然の「縦から横社会へ」の変革は、頭ではわかっても身体では理解できません。
戦後の復興も、相変わらず「中央」の官僚政府が外国から借りたお金と情報とを地方に流し、輸出で旨く稼いできたので本質的な縦構造は変わりませんでした。「地方自治」とは名ばかりで実体は中央政治でした。法律上ではちゃんと地方が自分でやれる様に出来ていますが、地方を一人前と見ない中央政府は「補助金と地方交付税」を「増やす・減らす」をちらつかせ「金を出すから口も出す」と地方を制御して来ました。地方もその方が楽なので、補助金等を多く貰えるようにご機嫌を伺うのが地方首長の仕事でした。ところが「中央」は借金のし過ぎでお金が出せなくなったのです。
そこで「いくらか金を貸すから皆で集まって自立してくれ」という情け無い話なのですが、これは「自立」への絶好のチャンスです。町村合併の方向で「真の地方自治」を目指したら如何でしょう。
問題は
- 名前がなくなる
- 役場が遠くなる
- 他町村にやられる
- 首長・議員・職員が減らされる
- 稼いで自立できるのか
の5つです。
吾妻8か町村の合併人口規模68,746人(平成13年7月1日現在)がベストですが最低「市」にしたい。4か町村では、人口は、嬬恋村11,227人、草津町7,647人、長野原町7,218人、六合村2,036人、合計28,128人で、30,000人以下、市にはなりません。吾妻町15,479人を入れ5か町村だと合計43,607人となり嬬恋村が抜けても人口32,380人で各町村の名前は残ります。
例えば、日本武尊ゆかりの吾妻市とし、八つ場ダムは吾妻湖、長野原草津口は吾妻駅などで吾妻町はのるでしょう。役場は出張所となり、後は町村間の話し合いです。
- 4は、やむなし。
- 5は、ある程度纏まった衆知を集めて頑張るしかない。
- お金は貸すそうですから銀行より有難い。
これでどうですか?
二つ目の観光問題です。
先日デズニーシーへ行ってきました。昨年は2200万人を集め、今年、2500万人は行きそうなテーマパークで一人勝ちのデズニーリゾートです。草津は約300万人で約8分の1の規模ですが、本気で競争する相手として最もふさわしいと思います。
草津を世界的なリゾートにするにはここから実に多くのことが学べます。背景、アクセスの乗り物、人々があっと目を見張る「人の能力を超えたパーフォーマンスやパレード」「おもてなしの心」等々が在りますが、最も強力なのは「面白い事」です。インディージョーンズ、センターオブジアース、海底2万マイル等はなんで面白いのでしょうか?煎じ詰めると「緊張とその緩和」となります。言い換えれば「人々に必ず解きほぐれる緊張を与えて、その緊張を開放してやる仕掛け」です。程度の差はあれ「危険な目に遇わせておいて必ず救ってやる」といった方が解りやすいかもしれません。
そこで二つのカラクリをつくります。1つは怖くて危険なもの、もう1つはそこから絶対安全に余裕を持って逃れる仕掛けです。自然とそっくりな危険な火山や海底、地底、首切り族などなど、危険に見える乗り物と、と絶対安全な仕組みです。何千億円もの大金が掛かっています。草津にはデズニーの真似は出来っこないと思うでしょうが、ちょっと考えれば出来そうです。よく考えてください、草津には危険な場所が沢山あります。
- 白根火山の火口湖
- 殺生や小殺生の硫化水素や亜硫酸ガスの噴出地帯
- 万代鉱源泉
- ゆるぎ石付近の高温泉地帯
- 酸性水の川で侵食された入道沢、谷沢、蛇沢、大沢、蟻の塔渡り、湯川などの深い渓谷
- 青葉山や靜可山下の鉱山跡
- 小右衛門の滝、ましらが滝、常布の滝、嫗仙の滝
- 湯畑や西の河原だって考えようによっては危険です。
このように草津にはデズニーリゾートのように、危険なものを、わざわざ金をかけて造らなくても、もっと大きくすごいものが幾つもあるのです。これを安心して体験出来、見られるようにすればいいだけです。
草津は幸いな事に噴火や地震による災害は殆どありませんが、他に、雪害、道路凍結、酸害、道路の狭さによる車公害、木造家屋による火災の危険、また昔では花柳病など、多くの危険性のため「保守的でタブーの多い町民性」が出来、このため挑戦するよりも、避けて隠し、危険箇所には立ち入り禁止など規制強化をしがちです。これは日本全体に通じ、安全性最優先、環境適応思想、自立心・自己責任の欠如などは「危険な火山と地震と可燃木造家屋」の所為かも知れません。しかし今や世の中は変わりグローバルな競争の時代です。何とか現状に挑戦しなくてはなりません。大幅な規制緩和でこれらの危険性を活用し安全に楽しむ発想が求められています。
そこで幾つか例を挙げて見ます。
- 白根火口湖にゴンドラを浮かべたツアーや結婚式
- 殺生が原のガスマスクツァー(海中のアクアラングと同じ)
- 万代源泉ツアーと巨大薬師如来像
- ゆるぎ石付近の温泉卵
- 横のつり橋から渓谷の真上を通る縦のつり橋
- 硫黄採掘跡の巨大空間を修復して行うダイアナツァー
- 滝を上から見せるつり橋や滝クライミング
- 湯畑の上を活用する「湯煙り浴」や結婚式
- 西の河原や殺生の岩盤浴
- 細菌博物館、リー記念館、老人美容形成センター、硫黄博物館
- 雪道は両手にストックで安全に歩く
- 志賀草津ルートに登山電車等々
危険を逆手に取って資源にすればデズニーに必ず勝てると思いますが如何でしょうか?